小学生のころに観たことがあったけども、さすがに昔すぎてあらすじしか覚えてなかったので改めて観直した。
あらすじ
2035年、人類は致死性の高いウイルスによって地上に住むことができなくなり、地下に潜って生活することを余儀なくされた。そのウイルスは1997年に何者かの手で世界中にばらまかれ当時50億もの人間が死んだ。
終身刑に服しているジェームズ・コール(ブルース・ウィリス)は1997年にタイムスリップして原初ウイルスを手に入れることで特別に刑務所から出られる(特赦)任務を与えられる。唯一の手掛かりである12モンキーズというキーワードを元に調査を開始する。
難解な映画と評判
未来(2035)と現代(1997)を行ったり来たりし、主人公ジェームズの夢の内容がオーバーラップしたりするので人によっては混乱するだろう。ただ上映当時私の両親が言ってたほどの混乱は今の私にはしなかった。確かに時間を行き来はするし、狂人変人がたくさん出てきて言葉がたまに意味ありげだから観る人を惑わせるが、ストーリー展開自体は比較的素直でだんだんと12モンキーズが一体何なのかわかってくるように作られている。
意味を明らかにされてない象徴的な言葉はいくつかある。12モンキーズそのもの。ジェームズが時々なぜかボブと呼ばれること。預言者のこと。こういうよくわからない言葉の意味を指して難解と思う人もいるかも。12モンキーズはロゴをよく見ると時計になっていたりするので、タイムスリップものであることを暗に指している気がする。欧米の文化や歴史について詳しい人なら、これらの言葉の意味がもう少しわかるかも。私は詳しくないのでわからないが、以下のブログ記事はへぇと思った。
https://ciatr.jp/topics/310724
12モンキーズの世界がまさか現実に近くなるとは思わなかった
普通に考えて「未来はこうなる」と予言する人が突然現れたら頭がおかしい人だと思ってしまうだろう。いくつか一種の予言書というか未来はこうなるみたいなものは普通に本屋でも売ってるけど、その大体が未来の経済とか未来の科学技術とかを話してて私たちの想像のちょっと先程度だから、ある程度予想ができることを書いてる。読者がちょっと驚くことはあっても、むやみに驚くようなことは書いてない。しかしジェームズは想像を圧倒的に超えた未来の現実を現代に伝えるわけで、誰も信じないし気が狂ってると思われても仕方ない。だって1年で50億の人間が死ぬと言われて誰が信じる?
まさかそんな映画のような世界がCOVID-19で2020年にやってくるなんて思いもしなかった。この映画に出てくるほどの死者はまだ出てないけど累計死者数は増えてくわけで、2035年までに何人の人がコロナで死んでしまうんだろう。今から15年先の未来には別のウイルスが流行り、もはや誰もCOVID-19の死者数を気にしない世の中になっていそうだが、『12モンキーズ』の世界のように地下にもぐる日常がくることはあり得ると今の私は思う。私は世界中の人が地下に潜るような生活をするなら次は核戦争が起きた時だと思っていたが、ウイルスで起こることがこんなに現実味を帯びてくるとは想像してなかった。夏でも当たり前のようにマスクをし、人との接触を避ける今の世界は、もうそれに近い。ヨーロッパは再度ロックダウンしてるし、日本も北海道で感染者数が増えてきていて対応に追われている。ロシアでは臨床試験が終わってないワクチンが出た。これから冬になり、すでにいくつかの論文では寒く乾燥する季節だとコロナウイルスによる風邪が流行りやすいと発表されていて、この冬が正念場な気がしている。SFってサイエンス・フィクションの略であくまでも作り話のはずなのに、現実はフィクションより残酷でいつだって想像を超えてくるなと改めて思った。今だからこそ見直すと面白い映画だと思う。
アストル・ピアソラの曲の素晴らしさ
小学生のときに観たときは全然理解ができなかったし、両親もいまいちよくわからんみたいなことを言ってた気がするが、曲だけはしっかり覚えていた。バンドネオンの奏でるノスタルジックなメロディーは一度聞いたら忘れない。映画の内容以上に曲のインパクトが強くて覚えていた。これだけはもう少し大きくなってからツタヤでわざわざサントラを借りてMDに吹き込んだ。フルが聞けるのは以下。
大人になって見直すと、この曲と映画のミステリアスな雰囲気がとても合っていて、場面場面で流れる曲とストーリーに引き込まれる。だけど、この曲は冒頭だけでなくちゃんと最後まで流してほしいかも。バンドネオン単体でなくオーケストラで演奏されてるフルバージョンがあり、冒頭から先の切ないメロディーも映画の雰囲気にあってる。
アストル・ピアソラはリベルタンゴなら聞いたことあるって人が多そう。
他映画紹介
人との接触を極端に避ける世界に関しては『デモリションマン』も思い浮かべた。ちょっと前にTwitterで見かけたけどVRセックスの話が出てくる。今みたいにアーリーアダプターな人たちがVRで遊ぶのとは違い、ヘッドセットも一般的になってあらゆる人がVRで遊ぶことが当たり前になっている。性交渉による性病の感染を極端に恐れるためVRでのセックスが当たり前になっているという世界観だ。体外受精も当たり前になっているため、子どもが欲しい時に直接体を重ねる必要がなくなっている。この話自体は映画のワンシーンでしかないけども、これもそんなに遠くない未来にやってきそうな世界観だ。
曲が印象的な映画として『ピアノレッスン』が浮かんだ。まぁ『12モンキーズ』とかとは全然話が違うから、この話の流れで見るとぎょっとするかもしれない。こちらは不倫映画。