- 作者:Thomas A. Limoncelli
- 発売日: 2006/10/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
時間管理下手くそだなーと感じていた折に、たまたまやってたセールで目について買って読んだ。
原題が『Time Management for System Administrators』なのでシステム管理者だけが対象のように見えるが、実際にはIT産業で働く様々な人が対象となる。例として載せてあるのがwikiの管理だったり、自動化できるものは自動化しようといってスクリプトをちょっと用意したりする話があるので管理者というよりも技術者寄りだし、作業途中で差し込み案件がきて集中力が途切れる話だったり、メールがいっぱい来すぎて頭がパンクする話だったりは別に管理者でなくともよくある。とりあえず次の引用を読んで「なるほど」と、なんとなく共感できる人は対象読者だと思う。邦題の方が内容に合ってる気がする。
「では、なぜ数え切れないほど出版されているほかのタイムマネジメント本を買うべきではないのですか」
なぜなら、無駄だからです。単に「我々」むけではないのです。あなたや筆者には理解できない一般の人々を対象にしているのです。筆者はギークです。システム管理者であり、ネットワークおたくです。家にいても職場にいても、していることはほとんど同じです。筆者の自宅に設置された最新鋭のサーバーを見ればわかります。
しかし『エンジニアの〜』と枕があるのでかなりの部分を自動化するのかなスクリプト書くのかなと思って読んでいたらそうでもなくて、自動化できるならしよう、でも自動化すること自体が目的になってはいけないとか、デジタルデバイスもいいけどアナログデバイス(紙と鉛筆)で今日何するか書いておくのは意外と捗るとか思ったよりも良い意味で体を使う(デジタルに頼りすぎない)話もあるので、そこまでギークギークしてない印象を受けた。
ほかのタイムマネジメント関連本を読んだことがないので比較ができないのが苦しいところだが、一つ特徴的かもしれないと思ったのが『ストレスの管理』に1章分まるまる割いてるところだ。ヨガをバカにしてたけど実際にやってみたらすごくリフレッシュできてバカにしてた当時の自分を心底バカにしたと書かれてたりしてて、へぇやってみようかな*1と思ったりした。ほかの話題としては「集中力を途切れさせずに済ませられるように周囲の人と『この時間は邪魔をしない』という約束を取り付けよう」とか「その日やることをその日の始めに決めておこう」とか、どういう取り決め・習慣があると仕事やライフスタイルが乱されにくくなるかが割と細かく丁寧に書かれている。
私はIT業界の中でもwebサービス業界という狭いところでしか働いたことがないので、ほかの業界や職種でどういう状況に置かれることがあるのか想像力があまり働かない。だからシステム管理者特有の問題を本の中でいろいろ挙げているように見えるけど、本当にシステム管理者特有と言えるのかが正直わからない。それよりも今の自分がどういう時間管理ができてないと感じていて、どうしたら解決できたとこの筆者は言っているか、似たエピソードを探して読むのが適切だと思う。自分が対象読者に当てはまるかは読む前から本当の意味ではわかるものでもないので、読み始めたなら読んで損したと思わなくて済むような読み方をする方がずっと良い。そう考えると、この本も突き詰めると「習慣化」の話に行き着くので、やっぱりシステム管理者なんて関係ないなと思う。
さっと読んで今のところ「その日の始めにやることを決める」くらいのことはやっていて、まぁまぁ前よりは時間にやたら追われているような気持ちはなくなった気がする。長期的なプランを立てるところは、あんまりこれまで自分でやってこなかったことだったから、このブログ記事も含めて「○日にxの内容をアップする」みたいに実際に書いてやってみている。ブログ自体は義務じゃないし、誰かにやれと言われたものでもないが、小さいところから始めるならこういうことかなーと思ってやってみている。