わすれっぽいきみえ

みらいのじぶんにやさしくしてやる

本『ソーシャルアプリプラットフォーム構築技法』読んだ

ブログ『天使やカイザーと呼ばれて』1を書いてる田中洋一郎さんと
洋一郎さん「今度本を出版するんですよ!」
私「本当ですか?読んで記事書きます!」
洋一郎さん「ぜひぜひ」
という話を直接していたんだが全然記事書いてなかった!すみません!

ソーシャルアプリと言われると正直ピンとこなかったんだが、読んでみてSNSをプラットフォームとして展開したシステム構築の話だとわかった。とてもざっくり言うと、TwitterなどのSNSAPIを公開して3rd party開発者に独自のサービスを作ってもらえるようにプラットフォームを構築するにはどうしたら良いかを記載した本。

この視点は個人的に結構斬新だった。というのも「facebookのGraphQLを使うとどんなサービスが作れるか」「Twitterなら」「G+なら」「LINE bot APIなら」という話は本当によく見かけるし、逆の視点と言っても「facebookのようなSNSを作るには」「Twitterは」(以下略)の視点になるのが大半だ。しかしこの本で言ってるのは「すでに自分はfacebookのようなSNSサービスを構築済みで、ある程度のユーザーさんも抱えているとしましょう。その上で別の開発者に使ってもらえるようなAPIを提供して、かつ継続して使ってもらうにはどうすればいいのか」という視点になっている。この切り口はこれまで見たことがなかった。

しかも技術的にどうやって構築するかの内容(3, 4, 6章)もかなり充実してはいるんだけど、エンジニアだけでプラットフォームが構築できるわけではない、ビジネスサイドの人をどう巻き込んでいくかの話(2, 5章)にも紙面が結構割かれているのが自分的にはおすすめ。特に私自身が弱点と感じているのが法務周りの知識で、まぁいきなり法務のプロになれるわけでもなりたいとも思ってないけど、じゃあ実際どうやって法務に相談するといいんだろうと思ったときにはこの本に立ち返ると思う。3, 4, 6章に書かれてることはエンジニアじゃないとなかなかわからない気がするが、2, 5章はエンジニアじゃない人も読んでみていい内容だと思う。

この記事を書く前に洋一郎さんと個人的に口頭でちょっと話した内容として改めて大事だなと思ったのは3rdの人もお金を必要としてることをちゃんと考えることだった。すでにこの本に関するレビュー記事はいくつか上がっているのだが、そこでも「お金はやっぱり無視できない」という話がちらほら書かれてる。プラットフォーム提供側としてお金をどう作っていくかも重要だが、単にAPIを提供すれば誰かが勝手に何とかしてくれると思うのは横柄だ、3rdにどうやってお金を作る手段を提供するかまで含めて考える必要があるという話だ。この辺、2章は本当に大事な章だと思う。よく考えてみるとTwitterAPIを使ったサービス作ってお金儲けしたいと考える3rdは今でもいるだろうが、Twitter社自体が全くそのへんを考慮せずにAPIを提供すると割りと悲惨だなと想像していた。

この記事自体は上澄み部分しか全然書けてないのでさらっと読めそうに感じるかもしれないけど、読みたい方は心して読んだほうがいい。本の見た目そんなに厚くないのに内容はかなり濃い。ちゃんと読もうと思うと結構時間がかかる。上に書いたような私が個人的に刺さったビジネスサイドをどう巻き込むか話だけでも、おおおって思いながら読めると思う。


  1. 洋一郎さんからすると、そのブログじゃなくてこっちの方が自分のウリですというものが別にあるかもしれないが、ご本人にお会いする前にブログの方を自分は読んだことがあって「あーこの記事の著者の人だったのかー」と思った。