結論から言おう。
電子書籍で1000万儲かる方法は載ってない。
儲けた人の話は載ってるけど、どうやったら儲かるかという話ではない。
なんかのセールで100円で売ってたので買った本。元々の値段だったら絶対買ってない。
Kindleダイレクトパブリッシング(KDP)で漫画を販売し、実際に1000万の売り上げが出た人(鈴木みそ)と日本では初めてプロ漫画家として漫画を電子書籍に出版した人(うめの一人、小沢高広)の対談本だ。
冒頭でも書いたが、この本には電子書籍で1000万儲かる方法が載ってるのではない。先細りの出版業界でどんな手段ならなんとか食いつないでいけそうかの話が載ってる。プロの漫画家になるのは今も昔も難しいけど、なんとか好きで描いてる漫画で食べて行きたいなら既存の出版社に漫画を持ち込むのではなく、もう直接自費出版すればよくて、その手段として今はKDPというものがある、ということをずーっと書いてる。漫画を描いてこの先生き残るには、ということを真面目に考えてみたら出版社にぶら下がってるだけだと食扶持減ってく一方じゃないか、という。一応大事かなと思うのは今の手段としてたまたまKDPを使ってるだけなのであって、ダメと思ったらすぐに他のものに移りますよという態度が一貫して取られている。
漫画家である人が漫画を描いてるだけで食っていける世の中はほとんど終わりで、小説家も昔を思い起こせば副業でしたよねとか。
話の部分部分に注目して抽出したら良いことも言ってるところはあるけれど、基本的に対談形式なので読んでみても四方山話が続いてるようにしか感じられない人もいっぱいいそう。偉そうに二人が会話してるのを最後まで聞いていられるかの持久勝負みたいなところが若干ある。まぁでも雑談のように全然関係ない話がぽんぽん飛び出すとかではなくて、あくまでも「俺らこの先大丈夫?」という視点を貫かれてはいるので、ちゃんと読んだらそこまで悪くはないかな、と。ただし100円じゃなかったらやっぱり買ってないし、買わないほうがいいと思う。
「おわりに」のところで、「変わり者の二人が『そうだよねー』『だよねー』と言い合ってるだけに感じたのであれば、この業界で生きていくのは難しい」と書いてるが、この本に対するそのイメージ自体は別に間違いじゃないし、そう感じたから生きるの難しいは言い過ぎな気はする。生き残る方法を考えて発言してはいるけど「もっと真面目に話してください!」って怒り出す人が現れることはありそうですね、くらいの感じ。